究極の相対図形

 図1に示す土偶は縄文時代の遺跡、長野県富士見町の藤内遺跡から出土したものです。頭に戴く渦巻き状の文様に関してはアカデミズムも注目し蛇ではないか、と説明を施しています。しかし、背中に描かれる湾曲する菱形に言及する研究者はほとんどいません。
 この湾曲する菱形と同じ曲線をもつ土偶が坂上(さかのうえ)遺跡(長野県富士見町)から出土しています(図2)。これと同じ双曲線をもつ土偶が、縄文早期に出現しています(図3)。注目されます。

 この双曲線に密接に関係すると思われるのが )形です。この縄文人が発見した )形については、これまでに触れてきましたが、一つ形の上に凹凸という二つの性質をもつところが、この図形の最大の特徴になっています。「両性具有」よいう言葉がありますが、この図形を表現するものと考えられます。
 双曲はへこみに対する表現とすれば、ふくらみに対する表現は、楕円ということになります。
ところで、私は不注意にも双曲幾何と楕円幾何という表現を使ってしまいました。ある同人誌に投稿したところ数学にいう「楕円幾何・双曲線幾何」に抵触するという理由のもと掲載を拒否されました。最大の原因は私の不用意な表現にあります。しかし、誤解を招かない表現に変更すれば、掲載不可の措置に至らないのではないか、編集長の裁定に不審が残りました。
 余談に渡りましたが、へこみとふくらみという相対性は数学の分野に限らず私たちの生活の中に見いだすことができます。この状況は現代人も縄文人も同じ環境に置かれています。したがって、数学にいう「楕円幾何・双曲線幾何」に抵触するという理由のもとに一つの意見を拒否する姿勢はいかがなものでしょうか。鼎の軽重を問われることにならなければよいのですが……。

隣り合わせに存在する凹と凸
  ) 形において、凹と凸は隣り合わせの存在に置かれています。今、×形の上に楕円図形を描くと必然的に+形の上に双曲図形が生じます(楕円と双曲の入れ替えもできます)。
 楕円図形を木葉文、双曲図形を湾曲する正方形という名称もあります。この木葉文と湾曲する正方形は「行ったり来たり」の現象をもっています。つまり、視点の合わせ方によって木葉文が見えたり、湾曲する正方形が見えたりします。この現象と両性具有が双曲図形と楕円図形の特徴といえるでしょう。

 図4において、楕円図形の四つの頂点を直線で結ぶと正方形が生じます。一方、双曲図形の四つの頂点を直線で結ぶと円形が生じます。
・楕円図形=木葉文―────正方形
・双曲図形=湾曲する正方形―円形
という図式が成立しています。つまり、正方形と円形は、それぞれ楕円図形と双曲図形を内含すするものであり、楕円と双曲にみる相対関係を内包するものである、このようにいえると思います。そして、正方形と円形の合体による図形に円接正多角形があります。
 わが国の縄文人、世界の新石器人が双曲図形と楕円図形とともに円接正多角形に重大な関心を寄せていたのは、このようなところに理由があったのではないかと考えられます。

〔縄文人の思考法に学ぼう〕
トポロジーの視点をもてば、それまで見えなかったものが見えるようになり、わからなかったことがわかるようになります

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