大いなる遺産

 ちまたでは出雲大社を「縁結びの神」と呼んでいます。その縁結びの由来は、どのようなところにあるのでしょうか。出雲大社には大きなしめ縄があります。
 しめ縄は二本締めと三本締めがあります。一本ではしめ縄になりません。もう一本の相手を絶対的に必要にします。このしめ縄のように私たちの周りには、二つのものが合体して新しいものを生みだす現象があります。植物の世界ではおしべとめしべが交合して果実が生まれます。動物の世界においても、そのメカニズムは同じです。つまり、「同質でありながら異形の二者の合体によって新しい生命が生まれる」という生命誕生の原理をもっています。二者は、二本よりのしめ縄と同じ、なくてはならない相即不離の関係に置かれています。
 では、生命誕生の「同質でありながら異形の二者」は、なぜ「しめ縄」に象徴されたのでしょうか。一本より二本の方が強いからでしょうか。それだけではないはずです。しめ縄が縁結びの意味をもつとすれば、しめ縄はAとBをつなぐ媒介者的機能があるということになります。

大いなる遺産
 図2のAがしめ縄(二本締め)です。図2のBは伏羲・女媧図です。その下半身はAのしめ縄の結合部分が強調されています。この部分を図案化したものが図2のCです。図2のDは、同Cを構成する二本の螺旋形を分離したものです。このパターンにひょうたん形が認められます。これを記憶しておいてください。
 ところで、伏羲・女媧図の下半身にみる結合部分は、なぜ強調されたのでしょうか。その理由は図2のCのパターンに隠されていると思います。つまり、しめ縄はその謎を解くキーワードをもっていることになります。
 しめ縄の基本形は眼形二個分に相当します。この二つの眼形を垂直に貫く線を引くと、S字トンボと逆S字トンボが生じます。このS字トンボと逆S字トンボはS字文と逆S字文に置き換えることができます。
 さらに分解すると、正逆S字文は、二個の )形から成り立っていることがわかります。この )形は、私が相対図形の素粒子と名づけてきたものです。 )形の最大の特徴は、凹と凸を一つ形の中にもっているところに発見されます。両性具有とはこれを指しているのでしょう。凹凸は相対関係に置かれています。つまり、 )形は究極の相対性をもつ図形といえるでしょう。これに代わるカタチをを見つけることはできません。
 しめ縄は、このような究極の相対性をもつ )形を基本形にもっているわけです。それは「同質でありながら異形の二者」に該当し、それは合体によって新しい形を生みだします。これが生命誕生にアナロジーされ生命誕生の原理に結ばれます。そして、継続するしめ縄に示されるように、それは永遠性をもっています。
 こればかりではありません。しめ縄は図2のDに示すようにひょうたん形を内含しています。このひょうたん形は生命誕生の原理とともに宇宙創世の原理(ピタゴラスの定理)を内包しています。これについては拙稿「ひょうたんから生まれた神々」に書いています。
 このしめ縄は、今からおよそ一万有余年遡ることができると考えております。すなわち、しめ縄の原点は私たちの祖先である縄文人が編みだした縄文土器に刻まれた縄目文様に求めることができます。
 縄文人が世界に先駆けて創出した土器そのものは、縄目文様から生みだされたといっても過言ではないくらい、土器と縄目文様は密接な関係にあります(拙稿「ひょうたんから生まれた神々」)。縄文人の「相手の存在を第一に考える思想」、「融和の理念」は、しめ縄文化として現代の私たちの身近に残されています。このような大いなる遺産を新年にあたって再確認しておきたいと思い、このような文章を認めました。

〔縄文人の思考法に学ぼう〕
トポロジーの視点をもてば、それまで見えなかったものが見えるようになり、わからなかったことがわかるようになります

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