土器・土偶の写真について

 去る2月7日(日)、東京国立博物館で開催された「土偶展」を見にいきました。予想以上の見学者が訪れ、縄文文明に多くの人たちが関心をもっていることを
肌で感じることができました。
 展示会場は大混雑で体を斜めにしながら見なければならないほどでした。図1に示す「猫目の3本指をもつ土偶」を見ているときに、博物館の係員に台に手をかけたり乗らないでくださいと注意を受けました。
 この土偶は正面から見ただけではわからない形が、頭部の真横と真後ろに隠れていました。それを見るためには白い台に手をかけるか、あるいは片足を台の上にのせる動作が必要になります。

 この土偶の頭部を真横から見ると湾曲する三角形が、真後ろから見ると円形の穴を発見できました。これはこの土偶の製作意図を知る上で重要な意味をもっています。「猫目の3本指をもつ土偶」だけでは変わった土偶というイメージしか湧いてきません。しかし、①円形、②湾曲する三角形を意識すると、その顔に円弧「 )」形を、さらに3本指をもつ長い腕の )形が強く意識されてきます。つまり、この土偶を創った縄文人は幾何学的なカタチと「 )」形(双曲図形・楕円図形)を意識的に描いていたと考えられます。「 )」形の連続形は鼻から眉毛のラインにも表れています。

 もう一つの事例を取り上げます。さる2月20日(日)に東京お台場で「縄文世界とストーンサークル」というフォーラムが開かれました。その会場に秋田県大湯ストーンサークル舘所蔵の7つも土器が陳列され一般公開されました。7つの土器は真上からも見えるように陳列されていたため、写真で見ただけではわからないことがわかるようになり、気づかないことに気づくことができました。
 つまり、写真を見ただけでは絶対に気づくことができない造形個所があります。その一つは真上から見ると三つの塔で三分割された口縁部のカタチは、ふくらんだ三角形になっているところです。この三角形の三つの角度は180度以上です。楕円図形に属します。また、三つの塔は三つともねじれております。 なぜねじれているのでしょうか。
 波状口縁をもつ土器に双曲図形をもつものに大森貝塚出土の土器があります。他にも例があります。この秋田県大湯ストーンサークル出土の土器に楕円図形を検出できたことは、ストーンサークルの夏至と冬至の太陽の運行経路の双曲線と密接につながっていると考えることができます。

 このように縄文人をはじめとする古代人は、水平方向と垂直方向を、つまり相対性を特に重視していたということを私たちは強く認識することが必要だと思います。そのためには、考古学的遺物の写真撮影において、変わったカタチをもつものには、垂直方向・背面方向・真横方向など360度の角度から撮った写真も必要であると思いました。

 中央の土器写真は秋田県大湯ストーンサークル舘提供。向かって右の図は川久保勝夫『トポロジーの発想』講談社より転載。

〔縄文人の思考法に学ぼう〕
双曲図形と楕円図形=相対概念をもてば、これまで見えなかったものが見えるようになり、わからなかったことがわかるようになります。

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