メビウスの帯とトーラスの関係

メビウスの帯とトーラスの関係 (中沢新一著『神の発明』をめぐって その4)

中沢新一氏は、多神教宇宙の構造論として「メビウス縫合型」と「トーラス型」という二類型の表現である、神々によって構成されているという、一つの理論に到達します。この二つの類型は、たがいに深い関係あるとして、次のようにのべています。

真ん中に穴の開いた構造をしている「トーラス型」の「高神」がスピリット世界の外に飛び出してきますと、それによって、「メビウスの帯」のようななりたちをしていたスピリット世界の全体性は破壊されてしまいます。その様子は、ちょうど「メビウスの帯」に切れ目を入れて、裏と表、内部と外部などの区別を発生させてしまうプロセスであらわすことができます。

 

中沢氏は「スピリット世界」と「トーラス型」は、深い関係にあると指摘し、トーラスとメビウスの帯の結合した図形を載せています(図1参照)。しかし、トーラスとメビウスの帯の結合を可能とする図形的根拠、および、その意味が示されていません。

現代のトポロジー(位相数学)では、トーラスは図3の③、二つのトーラスの結合は図3の④、これはⓐは二つ穴の浮き輪とも呼ばれています。メビウスの帯の結合は図4に示すものです。、これはクラインの壺と呼ばれています。

 

トーラスとメビウスの帯の共通点

図2・3と図4を見比べると、トーラスとメビウスの帯は、共通点があります。その一つは細長い紙片が基本形であることです。実はメビウスの帯とトーラスの共通点はこれだけではありません。次のことがより重要です。

六角形と八角形の関係

六角形と八角形の不思議な関係

メビウスの帯を折りたたむと六角形が生じます。一方、一つ穴のトーラスは五角形から、二つ穴トーラスは正八角形(正八角形を二等分した五角形)から生れるカタチです。図3の①・②は正六角形と正八角形が五角形を仲立ちとして結ばれていることを物語る図解です。ここに、私たちはメビウスの帯とトーラスの間に不思議な「六と八」の関係を知ることができました。

 

・正六角形を二等分割すると五角形が生じます。この五角形は一つ穴のトーラスを形づくります。つまり、正六角形からは二個の二つ穴のトーラスが生れます。

・正八角形を二等分割すると五角形が生じます。この五角形は一つ穴のトーラスを形づくります。つまり、正八角形からは二個の二つ穴のトーラスが生れます。

正六角形と正八角形は、ともに二個の二つ穴のトーラスを生みだす正多角形であることが判明しました。このことは「六と八」の関係を知る上で、極めて重要です。日本列島の縄文人は、縄文時代前期にヨコ並びの眼形を描き、このヨコ並びの眼形から正六角形が生じることに気づいていたであろうことは、拙著『伊勢神宮二十年式年遷宮の謎』彩流社、2011、『和の国・日本』私家版、2012)の中で指摘してきました(図5参照)。このような現象は二つの曲面(重ねて描かれる二個の円形、つまり、眼形)の連続形から多角形が生じることを物語っています。また、+形か×形の上に双曲図形 )( 形か、楕円図形()形のどちらかを描くと、必然的に隣にもう一方の図形が生じています。この双曲図形と楕円図形は、形/正八角形の骨組みを形成します。つまり、そこには正八角形が生れております。このような指摘がこれまでに行われているかどうかは寡聞にして知りません。

ところで、メビウスの帯は図6に見るようなカタチを作ります。これは偶然に生じるものではありません。メビウスの帯を折りたたむと六角形(正六角形を含む)が生じます。この現象と同様に180度反転するメビウスの帯から生じる現象と言えます。そこには必ず幾何学的な法則性が存在するはずです。

トーラスという図形は五角形から生じ、正八角形の頂点を直線で結んで得られる二つの五角形は二つ穴のトーラス(二つ穴の浮き輪)を生みだします。これと同じです。

このメビウスの帯/図6のa・b形と二つ穴のトーラス/図6のc形は、酷似しています。この二つ穴のトーラスとメビウスの帯の間には、法則が隠されていると考えられます。これに注目したいと思います。

 

以上から、中沢新一氏の著作である『神の発明』に載る図1のトーラスとメビウスの帯の結合する図形は、いったい何を意味しているのでしょうか。

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